2008年12月10日水曜日
「ブタ積み」 / インフレ期待 / 過渡的なレント / 「シバキ的清算主義」/ 新ヴィクセル派
貨幣を印刷すればインフレが起きる」というのは、クルーグマンでさえ言わなかった素朴貨幣数量説である。今のように貨幣需要が収縮しているとき、いくらマネタリーベースを増やしても銀行の中央銀行口座に「ブタ積み」になるだけだ(事実なっている)。理論的に考えられるのはインフレ期待を作り出すことだが、これも不可能であることはクルーグマンも認めた。
資本主義社会の利潤は、競争によって鞘が消滅するまでの過渡的なレントだから、インフラが効率的になり市場が競争的になると、企業の創造する価値はすぐ消費者に移転され、利潤はゼロになる。それはGDPベースではマイナスだが、消費者は幸福になる。だからGDP とは別の指標を考えないと、情報社会の幸福を計測することはできない。
ケインズの最大の誤りは、短期の景気循環だけを強調して、長期的な成長率を無視したことだ。アメリカでは苦しまぎれにケインズの亡霊が復活しているが、それが役立つかどうかはクルーグマンも懐疑的だ。金融政策がきかないから、財政政策を試してみるしかないというだけである。宮崎氏には、金子勝氏のような「シバキ的清算主義」に対して、リフレ派が「新しい経済学」に見えているようだが、これは学問的には30年以上前に否定された、ミクロ的基礎のないどマクロ経済学だ。最近のマクロ理論の主流は、ケインズではなく新ヴィクセル派である。ここではマクロ政策は、定常状態で決まる自然率からの乖離を是正する手段で、自然率そのものを変えることはできない。自然率を変えるには、労働生産性や資本効率を向上させるミクロ的な規制改革が必要なのである。経済政策を語るなら、大学院のマクロ経済学の教科書とはいわないから、せめて齊藤誠氏の本でも読んでほしいものだ。テレビに出るのもいいけど、もうちょっと勉強してよ、宮崎君。(キャンキャン豆タンク)
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