2010年2月6日土曜日
囲炉裏の火に照らされた横顔、雁の鳴き声、餌を求めて飛びこんでくる鴨、暗闇のどこかから聞こえてくる少年の歌声、列をつくって水路を移動していくカヌー、枯れた葦を燃やす煙のむこうに沈んでいく深紅の太陽
彼らはマアダン(葦のアラブ人)と呼ばれた。チグリス下流の丈の高い葦が密生した湿原に住み、葦を編んだ家を建て、小舟で漁業や運送を営んでいた。
14世紀に西アフリカから現在の北京まで旅したイブン・バットゥータも、1326年冬にここを通った。「大旅行記」には追い剥ぎとして登場する。
砂漠の遊牧民との落差にこの大旅行家は目をみはったが、本書の著者も1945年から5年間、ベドウィンとアラビア半島のルブ・アルハリ砂漠を横断する旅をしたあと、ここにやってくる。
「囲炉裏の火に照らされた横顔、雁の鳴き声、餌を求めて飛びこんでくる鴨、暗闇のどこかから聞こえてくる少年の歌声、列をつくって水路を移動していくカヌー、枯れた葦を燃やす煙のむこうに沈んでいく深紅の太陽」……。
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