2009年4月27日月曜日
2・26事件当時の青年将校たちは、正義感に燃えて、「君側の奸」を排除し、日本の政治を革新し、支配しようとしたわけだが、検察官僚よ、青年将校気取りも、いい加減にしろ、と言いたいところである。
■検察は、何故、リークするのか?
2・26事件当時の青年将校たちは、正義感に燃えて、「君側の奸」を排除し、日本の政治を革新し、支配しようとしたわけだが、今、その青年将校に相当するのが検察官僚であるらしく、正義の味方・検察官僚が、政界に巣食う「巨悪」を打ち倒し、正義を取り戻し、平和な日本を築く…のだ、というわけで、テレビや新聞のフラッシュを浴びながら、某政治家の事務所の家宅捜査に向かうわけだが、そして、そこで拍手喝采と行きたいところだろうが、どうもそうは問屋が卸さないらしい。検察は、果たして正義の味方か、正義の組織か、正義の行動なのか、と問うてみると、途端に怪しくなってくるわけで、むしろ、現在は、検察こそ「巨悪」なのではないか、という意見が出てきてもおかしくない状況である。西松建設をめぐる政治資金規正法による小沢一郎民主党党首の公設秘書逮捕事件、あるいは二階自民党代議士の裏金献金事件だが、このところ、ピタリと報道が止んでいるわけだが、おそらくこれは、検察側からのリークがなくなったということだろうが、それは、つまり、別の見方をすれば、捜査が一段落して、検察側の捜査それ自体が密かに終息に向かっているということなのだろうが、それにしても、あれほど大騒ぎして、連日連夜、検察のリークと思われる捜査情報がマスコミを通じて流され、政治資金規正法違反だけではなく、贈収賄や便宜供与等で小沢一郎の事情聴取も、あるいは小沢逮捕もあるかも、あるいは自民党有力議員も…というほどの過熱気味の報道合戦が繰り広げられたにもかかわらず、わずかに政治資金収支報告書の虚偽記載を根拠にした小沢秘書逮捕だけで、この事件は終わるということになるとすれば、なんとも、不可解な事件である、ということになる。いずれにしろ、今回の事件では、早い段階から、検察の問題として「国策捜査」と「リーク」という点が浮かび上がり、各マスコミでも、大きく取り上げられたということに、大きな特質があろう。ところで、その後、有識者四人、つまり飯尾潤(政治)、櫻井敬子(政治)、服部孝章(マスコミ)、郷原信郎(元特捜検事)の各氏等で発足した「政治資金問題第三者委員会」が、民主党の申し出で、開かれているらしいが、その委員会に、ロッキード事件の際の特捜検事だった堀田力氏がゲスト(有識者)として呼ばれ、今回の西松事件に際して、当初から検察に厳しい意見を繰り返し述べている郷原信郎(元特捜検事)氏との間で、「検察リーク」の問題をめぐって激しいバトルを展開している。むろん、堀田力氏は、原則としては、「検察からのリークはあるはずがない」、「あったとしてもそれは許容範囲だ」という立場だろうし、郷原信郎氏は、逆に「検察からのリークがあった」という立場であろう。「政治資金問題第三者委員会」のホームページhttp://www.dai3syaiinkai.com/panel_ex01.htmlによると、堀田氏は、こんなことを言っている。「…小沢代表が速やかに代表を辞任するという対応を取ることが、もっとも適切だろうと思っている。すなわち、国民は今回の事件を、単に小沢代表秘書の行為に関する法律問題と捉えているのではない。この事件を契機として出てきた小沢代表の資金の集め方、態度に対して、多くの国民は大きく失望し、代表としての資格がないと判断した。そういう判断が、根底に強くあると理解している。私自身も政権交代を強く望んでいるが、それを実現するための対応としては、小沢代表が辞任するしかないのではなかろうかと考えている。…」「…まず前提として、民主党のため、政権交代を実現するために、この委員会で議論・報告するということであれば、検察のあり方にはあまり焦点を当てない方がよいと思っている。…」 この堀田発言は、いったい、どういうことなのだろうか。これが検察内部、あるいは検察OBの側のほぼ常識に近い考え方なのだろうか。これは、元検察官僚の発言としては、かなり踏み込みすぎた政治的、党派的な発言なのではなかろうか。あるいは、国家権力の一翼を担う検察としては、権力の秘密としてのその捜査の方法や根拠を探られることを異常に恐れているということだろうか。さらに堀田氏は、こんなことも言っている。「…本来政治的に論ずべき小沢さんの対応のあり方についての議論を優先するべきである。以上を前提として、検察のあり方については「私の視点」にも寄稿したとおりである。説明責任を問う識者・論者は、政治資金規正法違反は軽微な罪・形式犯で、時期も政治的に微妙な時期であるから、通常なら逮捕すべきではないことを前提に問いかけている。しかし、私は今回の事件が軽微なものとは思っていない。また、時期についても、証拠が発見されれば対応すべきで、過程に不自然なところはない。…」以上の発言から、堀田氏は、ほぼ100パーセント、検察擁護側の立場に立っていることがわかるが、これが、何を意味しているかはわからない。さて、郷原信郎氏は、長崎地検検事時代に、政治献金事件の陣頭指揮を執っていたが、そのことについても、堀田氏は、桜井委員の「検察リーク」に関する質問に答える形ではあるが、かなり不可解なことを言っている。「第2のリークの方は、郷原委員に聞いてもらう方が適切かなと思う。郷原委員は、非常に優秀な検事であったが、検察の中で言われていたのが、捜査指揮はすばらしいけれども幹部には、リークがあるのが問題だということであった。そこで、郷原委員は実際にリークをされたのかどうか、まず聞いてもらいたい。その一方で、検察の中で多くの者がその理由を聞いて納得しているということは、それこそリークをしてはいけないという認識が定着していることを裏付けていると思われる。また、今回の件は、実態は知らないが、刑事局長が国会でありえないと答えているという報道なので、組織としてやってはいないと思っている。ただ、個人としてする人もいるかもしれないが、確かめようがない。」いやはや。恐れ入りました、と言いたいところだが、ちょっと待ってもらいたい。堀田氏は、今回の西松事件の「検察リーク」の問題ではなく、長崎地検時代の郷原信郎(元特捜検事)氏こそむしろ「リーク」していた検事であり、郷原信郎氏が出世できないまま、退官せざるをえなかったのは、事件の捜査の指揮は優れていたが、マスコミに「リーク」するということが上層部に知れ渡っていたからだ、つまり、これは、検察の上層部が「リークはよくない」と考えている証拠だ、と言っているわけだが、この発言に対して、郷原信郎(元特捜検事)氏は、こう反撃している。「…自分がリークをしたといううわさは、初めて聞いた。長崎地検の捜査では、本当にリークをしてメディアが報道してくれるという形で捜査が進められるのであれば、どんなに楽だろうかと思った。上級庁に報告していない長崎地検しか知り得ないことが報道されれば、長崎地検から情報が出たとすぐにわかるので絶対にできない。そういう状況でマスコミにリークするなどということはあり得ない。しかし、最高検や法務省に報告して捜査を進めるようになってから、どんどん情報が外に出るようになった。…」ここまでくれば、「堀田/郷原対決」は、検察OB同士の完全な泥仕合である。いずれにしろ、「リークはよくない」というのが検察の建前ではあるが、必ずしもそれは守られてはいず、かなり頻繁に「検察リーク」が行われているということだろう。さらに、ここで、強調しておかなければならないことは、堀田氏の発言に、「検察こそが日本の政治を動かす」というホンネが隠されているらしいことである。堀田氏個人が、何を考えようと、たとえば「小沢一郎民主党政権」に反対であろうとなかろうと構わないが、官僚機構としての検察が、国民や政府を無視して、特定の政治家や関係者を逮捕、起訴して、その政治家の政治生命を絶ち、そうすることで政治や政界を自由自在に操ることがあるとすれば、それは許されない。検察官僚よ、青年将校気取りも、いい加減にしろ、と言いたいところである。
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