2009年2月18日水曜日
村上春樹に続きチャベスもユダ公非難、「ユダヤ人はホロコーストを拒否するのではないか。なのに、それは私たちがまさに目撃しているそのものではないか」と。彼は、こうも言った、「私たちは、ユダヤ人コミュニティーがこの残虐な状況に抗議することを期待しよう」
日本では報道されなかったみたいだけど彼の勝利の背景には
先月イスラエルがガザ地区のハマスを攻撃した後、彼は、イスラエルがガザにした仕業をジェノサイド(民族抹殺)と呼んだ。さらに、彼は、テレビに出演して大声でこう叫んだ、「ユダヤ人はホロコーストを拒否するのではないか。なのに、それは私たちがまさに目撃しているそのものではないか」と。彼は、こうも言った、「私たちは、ユダヤ人コミュニティーがこの残虐な状況に抗議することを期待しよう」とも。
彼とは誰か?
この段落は12日付けワシントンポスト社説の一部を、彼について伏せて抄訳したものだ。オリジナルはこうだった。
After Israel's offensive against Hamas in the Gaza Strip last month, the caudillo expelled Israel's ambassador and described Israel's actions in Gaza as "genocide." Then Mr. Chávez turned on Venezuela's Jews. "Let's hope that the Venezuelan Jewish community will declare itself against this barbarity," Mr. Chávez bellowed on a government-controlled television channel. "Don't Jews repudiate the Holocaust? And this is precisely what we're witnessing." 彼は、the caudillo(参照)、ベネズエラのチャベス大統領である。そしてこの社説”Mr. Chávez vs. the Jews”(参照)では、「ユダヤ人コミュニティー」の前に、ベネズエラが冠せられている。 そして、どうなったか。
Government media quickly took up the chorus. One television host close to Mr. Chávez blamed opposition demonstrations on two students he said had Jewish last names.
政府系メデイアはすぐにこれ唱和した。チャベス氏に近い考えのテレビ番組司会者は、敵対するデモ中の、ユダヤ人家系名を持つ二人の学生を非難した。
On a pro-government Web site, another commentator demanded that citizens "publicly challenge every Jew that you find in the street, shopping center or park" and called for a boycott of Jewish-owned businesses, seizures of Jewish-owned property and a demonstration at Caracas's largest synagogue.
政府寄りのWebサイトでは、別のコメンテーターは、市民に「社会のために、街中やショッピングセンターや公園で見かけるユダヤ人全員に抗議」を求めた。さらに、ユダヤ人経営のビジネスをボイコット、ユダヤ人資産の押収、カラカス最大のシナゴーグ(ユダヤ人集会所)でのデモを求めた。 イスラエルに抗議するためにエルサレム文学賞の受賞のボイコットを求めるの比ではない。 そしてどうなったか。
On Jan. 30 the synagogue was duly attacked by a group of thugs, who spray-painted "Jews get out" on the walls and confiscated a registry of members.
1月30日、該当シナゴーグは、きちんと、暴徒集団に攻撃され、彼らは「ユダヤ人は出て行け」と壁にスプレーで書き残し、登録を押収した。
Mr. Chávez denied responsibility; days later, the attorney general's office said that 11 people detained in connection with the attack included five police officers and a police intelligence operative.
チャベス氏は責任を否定しているが、後日、検事当局は、襲撃に関連して拘留される11人うち、5人の警官、1人の諜報工作員が含まれていると述べた。 ところで、このニュース、私は日本のメディアでは見かけなかった。 邦文で私が見かけたのはCNN”武装集団がシナゴーグ襲撃、差別的落書きも ベネズエラ ”(参照)だけだったが、これにもチャベス大統領の話は含まれていなかった。
南米ベネズエラの首都カラカス市内のシナゴーグ(ユダヤ教礼拝所)が1月30日夜、武装した約15人の男に襲撃された。犯行グループは管理事務所に反ユダヤ的な落書きをしたうえ、ユダヤ教の聖典「トーラー」が保管されている部屋を荒らした。当局者が明らかにした。
事件は午後10時頃発生し、犯行グループは31日午前3時頃までシナゴーグ内に留まっていた。部屋を荒らす前には、シナゴーグの警備員を縛り上げた。事務所の落書きには「くたばれユダヤ人」「ユダヤ人は出て行け」などの人種差別的な言葉とともに、悪魔の絵が描かれていた。 背景を示唆するのは最後のこれだけだった。
シナゴーグは、イスラエル軍のパレスチナ自治区ガザ侵攻への反発を恐れ、ここ数週間儀式を中止していた。ベネズエラはガザ軍侵攻に抗議するため、ベネズエラ駐在のイスラエル大使を国外追放済み。 フォーブスでは「The Threat Closer to Home: Hugo Chavez and the War Against America」(参照)の著者たちの意見”Hugo Chavez And Anti-Semitism(参照)”を掲載していたが、そのトーンは当然ながらワシントンポスト社説より厳しいものだった。 さて、関連する話がある。今日の朝日新聞”ベネズエラ、大統領再選制限の撤廃へ 国民投票賛成多数”(参照)より。
南米ベネズエラで15日、大統領の3選を禁じる再選制限を撤廃する憲法修正案の是非を問う国民投票が行われ、チャベス大統領の修正案が賛成多数で承認された。これにより4年後に任期切れとなるチャベス氏の再選が可能となる。「21世紀の社会主義」の継続を訴えたチャベス氏の長期政権を国民が事実上容認する結果となった。 中央選管によると、午後9時35分(日本時間16日午前11時5分)現在、開票率94%で、賛成が54.36%、反対が45.63%だった。投票率は約67%。 チャベス大統領は「人民の勝利だ。社会主義を、革命を、そしてチャベスを国民が求めたのだ」と勝利宣言をすると、支持者が「チャベス万歳!」「チャベスは去らない!」と勝利を祝い、カラカス市内に花火が上がった。 つまり、ロイター”ベネズエラ、大統領の再選制限撤廃を国民投票で可決”(参照)が言うように。
チャベス大統領の現在の任期は2013年に切れるが、今後は無制限に再選が可能になった。 ということだ。 私は2007年12月3日に「極東ブログ: ベネズエラ国民の選択に賛意を表したい」(参照)でこう書いた。
民主主義というのは手順によっては独裁者を生み出しかねない。憲法というのはそうした強い権力への最終的な歯止めとして存在する。今回の事態は、憲法のそういう本質が揺るがされる可能性(公益が個人の利益に優越し公益認定で国家に接収が容易となる、報道の自由が優先されなくなるなど)がある例となって困ると不安な気持ちで見ていた。 ブログには書かなかったが、私は冷静に見れば、今回のベネズエラ国民投票は改正案可決に向かうのではないかという予想を立てていた。 あのときは予想は外れたかに思えたものだった。
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